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生活保護の思い出 4


この国の政治行政を考えると今の生活保護制度は抜本的に変わることはないでしょう。今の日本で一度始めた福祉政策を大きく変更することは極めて困難です。ただここでは自分なりにこういうほうがいいんじゃないかという貧困救済制度の仕組みを考えてみようと思います。



今の生活保護で一番問題なのは申請がしづらいことです。

収入が生活保護基準以下で生活に困っていても近所や親族への羞恥心から申請しない、できない人が多いです。背景には自己責任という日本の社会的観念があり、生活保護を受けている人は周りの人から蔑まれるような雰囲気があります。特に親族について、以前の記事で書いたように一定範囲の親族には民法上の扶養義務があり、それは生活保護より優先されるので、生活保護を申請すると親族に扶養してもらえないかと文書がお役所から届きます。親族と疎遠だったり、関係が悪かったりする場合、申請者にとっては非常に苦痛となります。

役所の生活保護担当者の受け持つ生活保護家庭の数はどんどん増え、対応が困難なケースの仕事でストレスが過剰になっているのが、役所側にとってできるだけ申請させたくない要因になっています。稼働年齢の申請者について、役所側の担当者も内心では自分もこんなつらい思いをして働いているのだから、お前もきちんと働けよという考えがよぎってしまうことも積極的に申請を受け付けようとしないことに影響していると思います。ただし役所は法令は守らないといけないので、その結果、知識がある人は生活保護を簡単に受けることができ、受けることができる人とできない人の格差が生じています。


私はできるだけ他の制度を活用することで生活保護を受けなくても最低限度の生活はできるようになればいいなと思います。以下高齢者の場合とそうでない稼働年齢層の場合について考えます。




高齢者の生活保護に関しては国民年金との逆転現象が特に問題だと思います。国民年金保険料を40年間満額支払ってもらえる年金額は月約6万4千円です。一方国民年金保険料を払わず、高齢者になって働けなくなったので生活保護を受けると月約7万円+住宅費+医療費などが支給されます。これはあきらかに制度としておかしいです。

2016年度時点で厚生年金の受給はなく、国民年金だけの受給者で、その年金額が月6万円未満の高齢者は471万人です。
平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(参考資料5)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/H28.pdf

一方2015年時点で65歳以上の生活保護受給者は96万人です。
平成29年版 厚生労働白書 図表3-1-24 年齢階級別生活保護受給者数、保護率の年次推移
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17/backdata/01-03-01-24.html

国民年金をもらいながら、生活保護を受給している人を差し引いても少なくとも300万人以上の高齢者が生活保護基準額以下の年金額しか受給できていない状態です。(住宅費や医療費等を含めるとさらに多くなります。)



国民年金保険料を払ってきた人より、払わず生活保護を受けた人が受給できる金額が高いというのは制度としておかしいので、やはり国民年金は保険料でなく、財源を税金から支出し、高齢者全員に同一額を給付すべきだと思います。現在でも国民年金の財源の1/2は国庫負担なのでこれを100%にすべきです。ただ実現するには今まで保険料を払ってきた人にはその分上乗せ支給するか返還しないと不公平です。

住宅は他の政策をもっと促進すべきです。例えば空き家活用や公営住宅家賃の減免などです。

医療費は高額療養費制度を利用すると非課税世帯では月額35,400円が負担額の上限です。通院程度では、上限額までいくことは稀でしょう。

実際、年金額が国民年金の満額分もらえて、住宅費がかからなければかなりの人が生活保護を受けることを控えると思います。生活に必要な一時的な出費は社会福祉協議会から無担保借り入れすることができます。

あとは長期入院や施設への長期入所が必要な場合などのときのみ生活保護を適用をすればよいと思います。



稼働年齢層の生活保護について、就労可能な状態の生活保護受給者への就労指導ははっきり言って無駄です。働かなくてお金がもらえるなら働かないほうがいいと考える人は多いと思います。また働く意欲があるのに就労できない人は雇用保険でサポートするほうが効率的で、現在の雇用保険が不十分ならそちらを制度変更すべきで生活保護で保障すべきではないように思います。

働けない長期固定した障害があるなら障害年金が受給できます。住宅や医療は先ほども書いたように他制度を活用できるようにしましょう。

さてここで働けるのに働かない人をどうするかという論点があります。ベーシックインカムがあれば保障対象になりますが、今の日本では、働けるのに働かない人を税金で救済するというのは他者の理解が得られないことがまだ多いと感じます。

ただし、働けるが能力や適性が著しく低い人もいますし、制度のすきまを埋めるために無償で貧困者に食事を提供する公的システムはあったほうが社会的に安定すると思います。食事があって、住宅や医療が他制度を活用できると基本的には最低限度の生活が営めます。何等かの事情で仕事を一時的に辞めざるを得ない人も最低限の食事と住宅が無償で利用できるなら安心して退職できます。

無償の食事はスーパーで利用できる食料クーポンだと転売されることもあるので、行う場合は支給額は低めにすべきだと思います。直接食事を提供する仕組みは炊き出しでもいいですが、浮浪者だけでなく、もっと普通の人でも利用できる場所や環境の形態がよいです。またよくある障害者の雇用支援で運営されている食堂などで無償で食事できるようにするとよいのではないかと思います。無償で食べた人はせめて自分の使用した皿は自分で洗うなどしてもらうべきだと思いますが。


続きます

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